箒木蓬生

ははきぎほうせいとタイプして変換すると、母木々砲声と出た。
いやはや。
確か姓のほうは源氏物語からとったと何かで読んだ気がする。

あれは何年前なのか、もう20年以上前のことだと思うが、本屋をぶらぶらしていてたまたま見つけたのが、『白い夏の墓標』の文庫本だった。引き込まれてあっという間に読み終わり、この作家に恋をした。
東大の仏文を出てテレビ局に就職、2年で退職して精神科医になったという変わってはいるが華麗な経歴(南フランスに留学もしてるし)にも惹かれたし、今でもこのデビュー作が一番好きだ。人間の暗い一面を描いていながら、ラブロマンスとロマンチックな舞台装置も用意されている上質なサスペンスだと思う。その後は次々に読んでいった。『カシスの舞』『十二年目の映像』『頭蓋に立つ旗』、どれも面白く読んで、どうしてこの人が人気作家にならないのか当時は不思議でならなかった。
だけど、それから彼の小説はだんだんといろいろな文学賞をとるようになり、本屋にも比較的よく並んでいるようになった。ただ、本当を言うと受賞した作品より、そうでない作品のほうが私には魅力的だ。
特に初期の硬質な文体の作品群のほうが好きなこともあるし、精神科医として書かれた医学関連書を読んでいるせいもあるが、箒木さんの人柄を、これまでは勝手に硬く理知に優ったイメージでとらえているところがあった。
本名はなんかお殿様みたいな立派な名前だしね。

ところがそんなイメージを覆すご本人を初めて見た。テレビだけど。(NHKのこころの時代という番組)そこで見たのは、九州のお国なまりをかすかに感じる、ごくふつーの気のいいおじさんである。
もともと小説家志望で、入社したテレビ局のバラエティAD生活で、弁当の手配や風呂にもぐってタレントの首に手をまわす、なんて裏方をやりながら「面白おかしい世界だけど、こんなことをしていていいのか」なんて悩んだのだそうだ。もしもTBSが、もうちょっとましな仕事を彼に与えていたらとか、文学の香り高いドラマや上質なドキュメンタリーを制作できるような、まあNHKみたいな局に入局していたらとか考えるけど、それだと忙しくて小説など書けなかったかもしれないし、精神科医になったのは本人としてもよかったそうだから結果はオーライなのだろう。
理知的なかっこいい男、のイメージは壊れたが、それはそれでうれしい発見だった。
それにしても、医者の仕事もやりつつ朝の2時間だけであれだけ執筆できちゃうってどういうことだよ。1日がわたしと同じ24時間とは思えん。
[PR]
# by happynap | 2014-03-12 00:03

ながらえば

山田太一作品集(1) 冬構え

山田 太一/大和書房


収められているシナリオのうち、『冬構え』と『ながらえば』は確かに放送をみたおぼえがある。どちらもNHKのドラマで笠智衆が素晴らしかった。
『ながらえば』の最後の笠智衆のせりふ「おまえとおりたい」はありありと思い出せる。せっかく会うことができた老夫婦が、結局は元のとおり離れ離れになってすごす姿がタイトルバックに静かに流れる少しほろ苦い結末も。
こういう終わらせ方だからこそ、見た方はいろいろ考えることができる。
安直なハッピーエンドや勧善懲悪のほうが、人気ドラマになってしまうのは困ったもんだ。
[PR]
# by happynap | 2014-03-09 09:46

『男たちの旅路』 吉岡指令補の愛の告白

男たちの旅路の再放送が終わった。
やはりというか、全シリーズの放送ではなかったようだ。
悦子を失った吉岡が東京を去るところで終わってしまった。
ネットの世界では、この後のシリーズには清水健太郎が出演しているから放送はないのでは、なんて声があったが、その予想通りの結果。
正直言って、悦子も陽平もいなくなったその後のシリーズは放送をがっかりした思いでみた記憶があるので、今回それほどショックではないものの、最後となった2時間スペシャルは見逃していたのでそれは残念である。
残念といえば、今回の再放送を事前に知らなかったゆえに、第1回の非常階段を録画できなかったのも残念だ。
これを超える感動をもらい、影響を受けたドラマは、未だないので。
改めて、アマゾンでレビューを読み、ネットの世界でいろんな人のコメントも読んだが、同時代を過ごしてきた人との不思議な連帯感を持つことができてうれしかった。
これを若いやつに見せたい、なんて語っている人もいたな。
なんか説教くさくていやだ、というレビューもあったから、そういう風に感じる人もいるだろうが。

シナリオも図書館で探して読んだ。ちょうど、山田太一氏のスペシャルドラマが放送され、そちらも見たが、やはり彼のベストは、このシリーズだと改めて思った。山田さんごめんなさい。
あのスペシャルドラマでは、いじめを受けていた側といじめていていた側の和解があまりにも安易に見えてしまった。死ぬことさえ考える壮絶ないじめを許す気持ちにあんなに簡単になれるだろうか、私にはとても無理だと思えてしまった。そんなことを超えさせるものが、あの震災での体験にはあったのかもしれないのだけれど。連続ドラマではないので、そういう葛藤まで描くのは無理だったのかな。

改めてシナリオと放送されたドラマを比べてみると、微妙にせりふが変わっていたり、順序の入れ替えがあったりカットがあったりするのを発見できる。
いちばん驚いたのは、吉岡が悦子への思いを陽平に初めて語る時のせりふの違い。
放送では、「悦子君を愛している」だったのが、シナリオではなんと「惚れてるんだ」「惚れちまったんだ」となっていた。
ディレクターの意見なのか、キャストの意見なのか、本読みの段階で変わったのか、惚れた、でも撮影はしてみたのか、とか、どんな経緯で変わったのか、想像してみるのもちょっと面白い。

[PR]
# by happynap | 2014-03-09 03:51

ドラマ『男たちの旅路』

山田太一脚本のドラマ、『男たちの旅路』をNHKが再放送している。
40年近く前の、10代の頃に見たドラマだが、改めてその素晴らしさに感服。
テレビで育った世代で、物心ついてから数え切れないほどのテレビドラマを見てきたと思うが、このドラマを越える上質なドラマにはいまだ出会っていない。
もうないのではないかと思っている。

人間を多面的に深く描き、生きていくことについて深く深く考えさせてくれるドラマだった。
再放送してくれたのは本当にうれしいが、突然だったので、第一話は録画できず。
こういう情報はもっと早めに流してほしかったよ。

それにしても、吉岡指令補(鶴田浩二)が当時51歳だとはなあ。
その年になっても、ちっとも大人になれていない我が身を省みるに複雑な心境である。
戦争体験は無論無く、なんとなく高度成長とバブルの流れに流されて生きて来て、自分なりの苦労は経験してきたとは思うが、時代が働く者すべてにやさしくすることはなくなったこの頃は、今時の若い人の方がよっぽど厳しい経験をしているので、とてもじゃないが説教なんてできない。
今の中年のほうがむしろ、今の若い人より苦労を知らないアマちゃんなのかも知れない。

それでも、全く別の形の世代の断絶と交流がそこにはあると思うけど、それをこんな風に鮮やかに描いてなおかつ生きることを考えさせてくれるドラマがこの先出てくることはあるんだろうか。
山田太一なら、どんな風に描くのだろうか。


[PR]
# by happynap | 2014-02-11 20:13

東京バンドワゴン

毎週土曜日の夜を待ち遠しく見ているのだが、視聴率が低迷しているらしい。
やっぱり・・・って感じもあるけど、これほどものすごく不運な放送日程もないでしょっ!て言う気もするわけで。
昨日なんか、野球ファンでない私でもマー君の晴れ姿を見たいばかりに、思わず日本シリーズにチャンネルを合わせそうになってしまったくらいだからな。ただいま我が家のテレビは録画機能が死んでいるのでコマーシャル中のみにしたけれど。
原作本も3冊読んだ。懐かしのテレビドラマに対するオマージュの小説が、テレビに戻っていっているわけなんだな。こういうホームドラマ、確かにもうないな。
小説はなんか、群像劇でありつつ、どっちかというと青より我南人のほうに日が当たってる。
最初は、玉置さんの髪は長い金髪じゃないし、とか、おじいちゃんはもっとべらんめいなせりふが似合う役者がいいとか思ったけど、見ているうちになじんできた。
今とても気になるのは、大女優の役を誰が演じるかということ。というかあのエピソードがドラマにどこまで出てくるかどうかわからないけど、小説では作者は明らかに吉永小百合をイメージに書いてる様子なので。
映画『霧の子午線』の玉置さんと小百合さんのラブシーンとかをちらっと流したら、すっごいことになるんじゃないでしょうか、スタッフぅ!
まあ、吉永さんはお断りになると思うけど。残念だな。彼女をシークレット出演者として口説き落としていたら、この番組プロデューサーを改めて褒めてつかわす。
だってこのドラマ、ゲスト出演者のほとんどがジャニーズタレントで、どー見ても簡保さんにしか見えないイノッチがIT社長とか、ジャニーズ色が必要以上に出すぎてるんだもん。
堀田家バンドというなら、紺を演じてるかっくいー金子ノブアキにドラムくらい任せて欲しかったわ。
[PR]
# by happynap | 2013-11-03 16:41

ついてない日

久しぶりに車に乗ろうとしたら、バッテリーが死んでいた。チーン・・・。
やっぱり悪いのはワタシなんだろうな。うえーん。

東京バンドワゴンを楽しみにして、専用ブルーレイディスクも用意していたのに、肝心のレコーダーもなんか体調がおかしい。
ディスクをうまく認識できなくなってるみたいで、録画できてなかった。チーン・・・。
すでに録画してある第1回目も見られなくなった。がーん。
なぜに、このタイミングに!土曜日の楽しみが・・・。
[PR]
# by happynap | 2013-10-19 23:57

プーパッポンカリー

乗換駅の新しいビルに飲食街ができた。
スペインバル風、オイスターバー、新感覚を売り物にするうどん屋さん、デリやお茶漬け、ぎょうざ、スープ屋などなど。
その中で、今のところ一番使い勝手がいいのは、JASMINE THAIというタイ料理の店。
ここはeat&deliともうたっているカウンターだけの小さい店で、一人でも入りやすいのだ。しかも味が本格的なのに、価格が凄く真っ当なのだ。
デパ地下でも、有名レストランのアジア料理は売っているけど、お持ち帰りのグリーンカレーが千円以上したりするので、買う気が失せてしまう。
それに比べてここは、みんな料理が千円以下。なんと言ってもプーパッポンカリーが千円以下で食べられることに感激!それもスープつき!タイカレーやバジル炒めはいろんなところで見かけるようになったが、カニカレーをおいているところは少ないからね。かにはソフトシェルクラブだったけど、充分においしくって大満足だった。ああ、また食べたい。問題は、カレーだけでおなか一杯になってしまって、他に食べたいものがあっても思い切りオーダーできないところかな。さつま揚げやパパイヤサラダも食べたい!だけど、さつま揚げも注文してみたら、おなかを通り越して胸まで一杯になってしまった。
近くのビルの地下にも、ベトナム料理があるけど、一人で入るのには向いていない。中華料理屋や居酒屋同様に、アジア料理屋も、昼は別として夕ご飯には一人で入れないことが多いので、とてもうれしい。お茶漬けとかそば以外に一人でも入れるところがもっと増えるといいな。
[PR]
# by happynap | 2013-10-18 20:25

ドラマ 『東京バンドワゴン』

半年たっても、マイブーム(死語?)がいっこうに去らない。
相変わらず、ipodの中は玉置浩二と安全地帯だらけだし、DVDは買い続けてるし。
そんなとこへ来て、玉置さんてばドラマにまで出演決定、久しぶりにドラマを録画しちゃったぜっ。
あの倍返しドラマも全く興味なかったのに。
(トシのせいか、見ながら寝ちゃう恐れもあるしさ・・・)

これでファンが増えて彼の音楽が見直されれば本望だけど、(という私もファン歴は半年だけど)大丈夫なのかなあ、という心配もあるわけだが。
ただでさえソロライブをずいぶんキャンセルしなきゃいけないくらいお疲れの様子だったからね。
でも、最後までドタキャンせず撮影にあらわれるのか、とか、いやもともと風来坊の役だから途中から来なくなっても大丈夫な設定だとか、別な意味のハラハラドキドキを世の中に提供中である。
この境地まで行けたらもうね、自由人として大成功ということで、いろいろ言われることさえ気にしなければ、最高の生き方じゃないかと、うらやましいくらいである。
まあ全く気にしない、ってことは不可能だけどな。実はうじうじ済んだことを気に病むタイプで、それがいちばん自分の嫌いなとこだ、ってずいぶん前のインタビューでも言ってたし。

ま、でも、第1回を見る限り、確かにこのガナトって役はぴったりだな。プロデューサーが8回オファーをした理由もわかる。原作も読みたくなった。もともと結構人気シリーズだったらしいが、わたしは全く知らなかったので。そういう人は多いらしくて、部数も伸びてるらしい。

社会現象になった半沢とは全く正反対路線のドラマなので、なんか盛り上がりに乏しくて朝ドラ向きだとかいろいろつぶやかれてて視聴率が上がるかどうかはわかんないけど、わたしはとりあえず録画率100パーセントでいくつもり。なんたって玉置浩二の顔が毎週テレビで見られて音楽が聴けるわけだから。
音楽だけをやっていればよかったとか、今までの発言からして、もう俳優としての彼を見るチャンスはないのかなと思ってたので、嬉しい驚きだ。ほんとに何かに呼ばれたとしか思えない役だしね。

ただし、ちょっとこのドラマにダメ出ししたい点がいくつか。
東京バンドワゴンは明治に創業したという古本屋なのに、その看板に少しも歴史が感じられない!なぜ?もう少し古色蒼然とした看板にして欲しかったなあ。
それと、古本好きの若きIT社長がイノッチとは、あまりにもありえないキャスティング!どうしても実直なかんぽさんにしか見えないってば。
あと、第1回目なので説明的せりふが多いのは仕方がないけど、百科事典があらわれたり消えたりするところにもう少しサスペンス感が欲しかったなあ。
あ、でもひとつ褒めておこうと思うのが、斬新な食事シーン。ホームドラマに食事シーンは欠かせないものだが、たいてい、カメラのためにテーブルの一面を空けて、それ以外の三面に家族が窮屈そうに席についている。それが、このドラマの全員集合シーンではなかったのだ。やるぅ。ラブだな。
[PR]
# by happynap | 2013-10-14 19:45

楡家の人々

楡家の人びと (下巻) (新潮文庫)

北 杜夫 / 新潮社


この小説の文庫は今は新しい版になり、カバー装丁もポップなものにすっかり変わっているようだ。
確かに新しい装丁のほうが若い人には手に取りやすくとっつきやすいのかもしれない。
この小説の凄みを伝えるにはいささか軽くみえるけれど。
その点、こちらの旧版のほうは、必要十分にその魅力を伝えている。
『これほど巨大で、しかも不健全な観念性をみごとに脱却した小説』と評した三島由紀夫の短文がカバー裏に印刷されているし、辻邦夫の解説もいい。
小説に解説など不要だとばかりに、村上春樹みたいに解説なしを貫く御仁もいるけど、こんな見事な解説なら邪魔にはならないはずだ。
毎日少しずつ通勤電車の中で読み、時には個性的な登場人物の行動に笑い、驚きあきれ、なおかつ親しみながら、本当に圧倒された。
嫌味と思えるくらい闊達なお嬢さんとして現れた藍子の過酷な運命には不覚にも泣きそうになった。
長いなあと思って読み始めたのに、最後まで読み終わった時には、ここで終わるの!?と思わずにいられなかった。
そんなところに、辻邦夫の解説。
まさにおっしゃるとおり!といいたくなるのだ。
日本文学が、漱石鴎外の頃から一貫して、人生いかに生くべきかのモラルにとらわれていて、常に「ある自己」より「あるべき自己」への激しい憧憬があり、自己嫌悪や現実否定を含んできたこと。
われわれが現実の生をあるがままに楽しむことをせず、人間の愚かしさ、軽薄さ、ずうずうしさを人間らしい弱点として愛することをしなかったこと。
だから、人間が生き、迷い、喋り、ぺてんにかけ、見栄をはり、笑い、失望し、死ぬ姿を、そのままで「よし」として腕に抱きしめることができなかったのだ。
戦後の高度成長期は終わって、長い不況やバブルの崩壊を経験しているのに、今も、日本人はやっぱり世界でたったひとつ、とか、一番、とかになること(というかなるべき、という志向)から自由になれていない気がする。
俗人性や凡庸性を愛したり、魅了されたりすることは今も尊敬されない。
でも、この小説に登場する俗人凡人たちのなんと魅力的なことか。
そして、戦後世代にはわかりようもない戦前から昭和にかけての時代の波。
特に焼け野原になった東京にも季節がめぐり、「なぜとなく罪ぶかいとまで感じられるやわらかな陽光」がさす、描写にはこころを奪われた。
辻氏が言うように、永遠に終わって欲しくないという作品だった。
そしてそれには最後まで読んでからしか気づけない。
[PR]
# by happynap | 2013-04-28 23:53

ザ・ソルトモデラートショー

安全地帯XIV~The Saltmoderate Show~

安全地帯 / スティーズラボミュージック


作り手が楽しんでるのがほんとに感じられるアルバム。
根尻七五三サイコーなのだ。

でも、いち押しらしい合言葉『愛を鳴らせ!』よりも気に入ったのは『海路』という曲。
ストレートなラブソングだと、彼の4人目の妻の顔が、ついついこれまたストレートに浮かんできちゃって、なんだか聴いてて恥ずかしいというか微妙なむずむず感がつのってしまうのだが、このバラードは、それがない。
波乱万丈な彼の人生をむしろ祝福したくなってしまうのだ。
『ただいま・・・おかえり』もいいな。
決め台詞の後に爆笑が入っているのも、すごくいい!
大人になっても照れるひとって魅力的だ。

そういえば鉄矢のショータイムでも、歌い終わった後の照れ笑いがステキだったな。
なんか私惚れてる?俺に惚れるなよって言われたのにね。
[PR]
# by happynap | 2013-04-02 21:01