大野康雄 『氷の城 連合赤軍事件・吉野雅邦ノート』

最近ちっとも更新できていないのだけれど、本だけは読み続けている。
本を読むことだけが、わたしを救ってくれるように感じて。

とは言っても、本当に心に響く忘れがたい本は、そうはないのだけれど。

どうも絶版になっているらしい、この本も、そのひとつ。

連合赤軍に関するノンフィクションを手に取るようになったのは、まったくの偶然だった。
以前読んだ、裁判中の外交官の獄中記の中に、拘置所での「隣人」だった連合赤軍事件の被告のことが印象深く書かれていたのだ。
二十歳そこそこで起こした事件から30年たった現在も、死刑確定囚として塀の中で暮らし、面会に来た母に会うため、
「おふくろ、すぐに行きます」と看守に答えて独房を出るその人の後姿を一生忘れることはないだろう、と。
本の中では名前は伏せられていたが、その人物が、超法規的措置で出獄できる機会をあえて断って塀の中にとどまった、という記述から、
坂口弘という名であることがわかった。
あさま山荘の事件の記憶はうっすらとしかないし、学生運動が死に絶えた後に大学生になったわたしには、初めて聞く名前。
釈放されてすぐに読んだという、その手記が、3冊とも思いがけず図書館にあり、わたしも読むことができたのだが、
読むほどに湧き上がる、なぜ?という疑問をどうすることもできなかった。
読んでいくほど疲労した。
読み始めた頃は、永田洋子などの他の被告の手記などももあわせて読んで、この事件を偏らない目で理解したいと思っていたが、
3冊読了してみると、これ以上こんな陰惨な事件につきあう気力は残されていなかった。

でもそれから1ヶ月、偶然図書館の本棚にこの本を見つけた時、迷わず手に取ったのは、やっぱり気になっていたからなのだろう。
社会に感じる矛盾、それを何とかしたいと思う気持ち、そんな純粋なものが、なぜ、こんな暴力を呼んでしまうのか。
逃げたり、うまく立ち回ったりできずに、すさまじいまでの暴力にさらされ、殺されてしまった人たちのことを思うと、
被告たちには同情の余地などない。
けれど、この本を読みながら、涙を抑えることができなかった。
今でも、あんな形で人の命を奪っておいて、裁判では、自分の権利を声高に主張する被告には違和感を感じずにはいられない。
けれど、少なくとも、無期懲役になったこの吉野被告には、身重だった妻を含めて、殺した人たちの魂を弔い続けて欲しいと思う。
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by happynap | 2007-12-15 17:04
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