マシュマロテスト

The Marshmallow Test: Understanding Self-control and How To Master It

Walter Mischel / Transworld Digital



たまたま飛行機に乗る前にゲートの本屋で見つけて買った本だけど、これが存外面白かった。

学者が一般向けに書いた読みものとして、知的刺激もありつつ大変面白く読める。
最初のつかみで大いに笑わせるところなんか、日本の学者さんも見習うといいと思うな。
副タイトルが人生を成功に導く、うんぬんとなっているのは少々辟易するけれど、
これは多分本をたくさん売りたい編集者がつけたんじゃないかなあ。

目先の楽しみよりも、もっと先の目的のために我慢することができるという意志力というかスキルが
人の人生に大きな影響を与えるというのが作者の主張だ。
特に興味深く感じたのは、そういうスキルがその人自身の脆弱性から当人を守るという主張だ。
その脆弱性というのは、作者がホットシステムと呼ぶ、本能的で感情的な反応だ。
原始時代、危険が迫った時には、戦うか逃げるかを一瞬で決めて行動しなければ人は生き残れなかった。だけど、現代では、それは人の脆弱性となってしまっているのだと。
守るというと、外的な危険から守るイメージがあるけれど、人には人自身の内側というか内面にその人を危険にさらしてしまう脆弱性があり、そこからも自分を守る必要があるというのは新しい考え方だなと思えた。
人の内面にあって、人を危険にさらす脆弱性には、感受性の強さも含まれる。拒絶されることへの感受性が強すぎると、人との安定的な関係を持つことが難しくなってしまう。

もう一つは、辛いことを思い出すときには、その時の自分からできる限り距離を置いて思い出すことが良いということ。その場にいた第3者、壁のハエ!?として思い出すのがいいのだそうだ。そうしないと再度痛ましい経験を自分自身として生きてしまう。虐待などあまりにも辛い経験を話すことができなかった人に対して、話すように促すことは諸刃の剣になってしまうということだ。これはすごくわかる。話すことを推奨する精神科医やカウンセラーはぜひこの事実を心にとめてほしい。
ちょっと面白いなと思ったのは、心が痛みを感じているときと肉体が痛みを感じているときには脳の同じ場所が活動していて、だから市販の鎮痛剤は体の痛みだけじゃなく心の痛みにも効果があるという研究結果もあるっていうこと。もっとも偽薬も使用した実験では、被験者は飲み始めてから9日目になってからやっと効果を感じたそうだけど。
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by happynap | 2015-12-21 21:50
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